副業所得300万円未満は「雑所得」・・・(三鷹の公認会計士・税理士のブログ)
2022/08/14
国税庁が8月31日までの期間で意見募集している「所得税基本通達」の一部改正案がそのまま確定すると、副業をしているサラリーマンに多大な影響を及ぼす可能性があります。
この通達の内容は、「主たる所得でない副業収入(利益でなく売上です)が年間300万円未満の場合、その所得は『事業所得』ではなく『雑所得』とする」というものです。
このことにより、副業を行っているサラリーマンの場合、副業で赤字が出ていても、収入が300万円以上なければ後述するデメリットが現れます。
まず、事業所得のメリットを上げると、青色申告が可能となり、下記の特典があります。
・青色申告特別控除(10万円~65万円)の適用
・他の所得(雑所得以外)との損益通算
・3年間の損失の繰越
・少額減価償却資産の特例(30万円未満の固定資産の即時償却)
・青色専従者給与の適用
しかし、雑所得になると、上記の特典が一切使えません。
世間では、「副業OK」としている企業も増えてきており、「副業の赤字は、給与に係る所得と損益通算でき、源泉徴収されている税金が還付される」ということから、副業による赤字で損益通算により源泉所得税の還付を受けてきた人も少なくないと思います。
ここで300万円以上という基準が出てきましたが、「事業所得」となるには、次のようなことが必要です。
・自己の計算と危険において営まれている事業
・営利性、有償性
・反復継続性
・社会的地位があるか否か
ただ、基準としては曖昧であり、現在でも、副業の赤字を損益通算して源泉所得税の還付を受けている人もいるようです。その場合、税務調査によりこれらの基準を満たしていないとみなされると、副業の所得が雑所得とされ、追徴課税を受けることになります。
インボイス制度や副業所得など、課税範囲が広がっていきますね。