税務難民-その3(三鷹の公認会計士・税理士のブログ)
2021/07/22
知人の公認会計士から聞いた話ですが、「ニセ税理士」にひどい目にあっていた会社(A社)があります。この「ニセ税理士」は経営コンサルティングを業とする合同会社(B社)の代表で、「会社の軍師になります!」といって、コンサルティングと記帳代行補助を行うという名目で、毎月、一定の金額をA社から受け取っていました。
様々な助成金や金融機関の融資に関する情報について、A社の社長からの問い合わせがあったにも拘らず、適時に回答せず、のらりくらりとかわし、記帳代行も請け負っていましたが、決算日から2か月を経過した3か月目に確定申告書を作成して、社長に渡していました。このケースだと、期限内に申告していないため、納税額にもよりますが、延滞税が課される可能性があります。
さらにひどいことに、会議費や福利厚生費等で飲食店のテイクアウトのように軽減税率適用となっている取引についても軽減税率を適用しないといった誤った消費税の計上処理を行っていました。(これは、消費税について、正しく理解できていなかったのが理由と考えられます。)
B社の代表者は、A社以外の他社でも同様のことを行っていたようで、「ニセ税理士」として他社から税務当局に通報されたとのことでした。
A社については、その年の確定申告は、社長の名前で行わざるを得なくなり、税務署からの消費税に関する問い合わせも当然社長にあったのですが、自分が制度や内容を把握していなかったため、答えられなかったとのことです。
税理士がついていないため、税務署からの問い合わせに社長自身が行わざるを得なかったため、税務署からの指摘に反論できず、言われるがままに修正申告し、追加で税金を支払いました。税理士がついていないという意味で、この例も「税務難民」と言えるのではないでしょうか。