固定資産の会計処理上の不正(三鷹の公認会計士・税理士のブログ)
2021/08/05
とある会社の内部監査において、次のようなことを検出した。
稟議書を査閲していたところ、期中に社屋内のレイアウト変更工事(300万円)が行われていた。
そこで、固定資産台帳を通査したところ、該当する工事がなかったため、詳細を確かめるため、当該工事に関する書類一式の提出を依頼し、査閲したところ、パーティション20枚の設置工事に200万円、机・椅子の取得に100万円となっていた。
経理担当者に内容を聞いたところ、パーティション1枚は10万円以下であり、費用処理できると判断し、消耗品費で処理したとのことであった。
机・椅子は検討の余地があったが、パーティション設置工事については、一体とみなすことが妥当であると判断できるものであった。
費用処理した理由を尋ねると、当期は利益が出ていたため、納税額を少なくするために、本来、建物付属設備として計上すべきものを費用処理していたとのことであった。
また、他の稟議書には、期末月の最終週に工具器具備品費(350万円)及び備品(150万円)の支出が計上されていた。この工具器具備品費は、机・椅子・ロッカー・キャビネットであり、備品は、窓に設置するブラインド・ロールスクリーンであった。
これについても利益が出ていたため、納税額を少なくするために取り組んだ事項である。
必要な物品の取得であれば仕方がない点もあるが、期末日までにキャビネット等の搬入及びブラインド等の据付工事が完了したかについて、疑念が生じたため、取引先からの納品書及び工事完了報告書を査閲した。
その結果、一部は翌期の納品で、工事の完了は翌期であり、利益を過少に計上する逆粉飾を行っていたのである。
いずれの事項も、税務調査で指摘される前に修正申告を行わせることになった。