中国恒大集団とPwC(三鷹の公認会計士・税理士のブログ)
2021/10/17
15日にロイターから、香港の監査当局が中国不動産大手の恒大集団の2020年と2021年上半期の財務諸表について調査を開始したとの記事が発表されました。
2020年については、PwCの監査も対象とのことです。(https://www.sankei.com/article/20210930-C4LMIZCAR5IV3B2OJILASF5E7Q/)
PwCは2020年12月期の監査報告書に無限定適正意見を表明したけれど、ゴーイングコンサーン(企業の継続性)についての記載がなかったようです。
香港の監査当局がどのような判断を下すかは分かりませんが、PwCに何らかの処分が下されるかもしれません。
実施した監査に不正がなければいいのですが、2020年12月期の恒大集団の監査について、ゴーイングコンサーンの懸念を表明していないのは何らかの問題があったのかもしれません。
ロイターで大々的に記事が出たこともあり、あくまで私見ですが香港の監査当局の判断によっては、中国から撤退という可能性もあるかもしれません。
過去の監査法人等の破綻については、次のものがあります。
・ フットワークエクスプレスの粉飾に加担した瑞穂監査法人
・ エンロン・ワールドコムの粉飾に加担したアーサーアンダーセン
・ カネボウの粉飾に加担した中央青山監査法人
これらについては、全て“監査法人が粉飾に加担した”という公認会計士としては許されないことを行い、結果として監査法人の解散という事態を引き起こしています。
特にアーサーアンダーセンや中央青山監査法人は、それぞれビッグ6・四大監査法人の一角であったにも拘らず市場からの退場となりました。
アーサーアンダーセンについては、粉飾加担の結果として、PCAOB(公開企業会計監視委員会)という監査を監督する機関の設置と内部統制監査の導入をもたらしました。