公認会計士資格の誤記について等(三鷹の公認会計士・税理士のブログ)
2022/07/16
日本経済新聞に『トーマツ、無資格の職員を『会計士』と誤記載」という記事が掲載されました。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC15AA90V10C22A7000000/
「監査法人トーマツは15日、同法人が作成した監査関係の書類のなかで、資格を取っていないにも関わらず『公認会計士』と誤って記載した事例があった」とのことです。
記事によると、過去5年間数社にわたり29人について誤りがあったとのことです。
この監査関係の書類とは、デロイトトーマツのホームページのお知らせ「公認会計士資格の表記に関する誤りについて」に、「被監査会社に提出した監査チーム体制に係る説明資料、財務局等に提出した監査概要書等及び日本公認会計士協会に提出した監査実施報告書です。」
https://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/about-deloitte/articles/news-releases/20220715.html
通常、有価証券報告書以外は投資家の目に触れることはなく、監査意見には何も及ぼさないため、市場への影響はほとんどないと思います。実際、公認会計士という資格が必要なのは、監査報告書にサインするパートナーだけで、それ以外の監査補助者(マネージャー、シニア、スタッフ)は公認会計士でなくても構いません。その意味では、資格のない職員を雇用して、税理士業務の補助を行わせている税理士も同じです。
しかし、公認会計士でない者を公認会計士として誤記するというのは、大手監査法人にしてはお粗末です。登録されている人事データの確認は行わなかったのでしょうか?
先日、朝日新聞で掲載された「『乱交パーティー』参加の公認会計士を逮捕 17歳高校生を買春容疑」の方が業界人としては問題だと思います。
https://www.asahi.com/articles/ASQ7D4H29Q7DULOB002.html
あずさ監査法人所属の公認会計士であったため、同法人広報室は「当法人の職員が逮捕されたことは誠に遺憾で厳正に対処する」と取材にコメントしたとのことです。
当該事例では逮捕されていますが、その後起訴されるか否かで当人の公認会計士としての立場が大きく変わってきます。
公認会計士法上、起訴され、禁固以上の刑に処されると公認会計士の欠格事由に該当し、登録が抹消される場合があります。
その場合、刑の執行が終わってから3年~5年経過しないと再登録は認められません。
公認会計士に限らず、他の士業も同じですが、公認会計士として名乗れるのは、日本公認会計士協会のように資格を管理している機関に「公認会計士」として登録されていることが必要です。
登録が抹消されても一定期間(3~5年)が経過すれば、条文上、再登録できるとのことです。つまり、登録抹消されても「公認会計士試験合格者」という状態は消されないようです。
このように試験合格の実績があることから、ほとぼりが冷めた時に再登録すればいいので、大したことではないとも思われがちです。しかし、登録主体は協会であるため、期間が経過しても協会が認めなければ登録はできず、公認会計士と名乗ることはできません。