監査法人関連で2件ほど(三鷹の公認会計士・税理士のブログ)
2022/07/02
監査法人関連で2件ほど記載します。
まず、アーンスト・アンド・ヤング(以下、EY)について。
Forbes Japanの記事によると、大手監査法人Big4の一角であるEYが公認会計士試験で不正を行っており、米国証券取引委員会(SEC)に罰金1億ドルを支払っているとのことです。
SECの調査ということからUSCPAの試験に関することと想定されます。記事によると「数年にわたり『相当数』のEY従業員が公認会計士試験の倫理科目やライセンス維持に必要な他の科目でカンニングをしていた」とのことです。
日本の会計士試験制度とはかなり仕組みが異なりますので、日本の試験では同様のことは起こりにくいとは思います。
一方で、「ライセンス維持に必要な~」ですが、日本では公認会計士の資格維持のため継続的専門研修制度(CPE)が設定され、所定の項目について、年間40単位以上を取得することが義務付けられています。ところが、2020年に大手監査法人で80人を超える会計士が複数年にわたりe-learningで二重にログインし、2つの講座を同時に受講するという不正を行っていたことが内部通報により発覚しました。その中には監査報告書にサインしていたパートナー会計士もいたということです。当然、彼らには監査法人から減給等の懲戒処分を受け、またJICPAからも当該監査法人と不正受講していた会計士に懲戒処分が出されました。その後、JICPAとしては、不正受講対策として、研修の最初と最後にはCPEナンバーの入力等を必須とし、早送りでのe-learning受講も受講したとはみなされず、ペナルティが課されることとなりました。
次は、UHY東京監査法人に対する金融庁の処分についてになります。
金融庁のホームページによると、「公認会計士・監査審査会(CPAAOB)は4月1日、UHY東京監査法人(東京都品川区)に対し行政処分等の措置を講じるよう金融庁に勧告した。 品質管理レビュー等での指摘事項に係る改善状況が不十分で同種の不備が繰り返されているほか、業務執行社員に監査基準に対する理解が不足している状況などが確認され、重要な不備を含め広範かつ多数の不備が認められているとしている。 なお、同監査法人は23社の上場会社の監査を行っている。」とのことです。
https://www.fsa.go.jp/news/r3/sonota/20220630_4.html
要するに、上場企業を監査する品質管理体制が不十分であり、改善されていないということのようです。
おそらく中小監査法人なので、監査責任者としてサインしている監査業務とその監査以外の業務が忙しく、当監査法人が受嘱している上場企業監査の品質管理に割く時間が取れず、そのことがJICPAの品質管理レビューで指摘されてもなかなか改善できなかったということではないでしょうか。
先日出席した、JICPA東京会の定期総会でも上場会社を監査する監査法人の登録が必須になる等の公認会計士法の改正が報告されていました。これからは、上場会社への監査が難しくなってきますね。独占業務としての公認会計士監査の品質維持のためには仕方ない部分ではありますが。。。