令和4年の税制改正大綱(?)で思うこと~インボイス制度と贈与税~(三鷹の公認会計士・税理士のブログ)
2022/12/14
与党の2023年の税制改正大綱にインボイス税度と暦年贈与についての気になる改正が盛り込まれるようです。
まず、インボイス制度ですが、売上高1,000万円以下の小規模事業者がインボイス登録を行い「課税事業者」になった場合、3年間は消費税の納税額を売上消費税額の2割にするという「激変緩和措置」を取り、また、6年間限定となりますが、課税売上高1億円未満の事業者の場合、インボイスがなくとも、帳簿の記載のみで仕入税額控除を可能とするとのことです。『免税事業者の益税をなくす』ということでの導入のはずですが、前述のような緩和措置で、少し「骨抜き」気味になってますね。確かに、免税事業者は人手が足りなかったり、情報が十分に伝わっていなかったりで、対応が不十分なところが多いように思いますし、経理要員がいない事業者などは理解が追い付いていないですね。
緩和措置は致し方無いといったところでしょうか。
次に、暦年贈与について、生前贈与の相続税対象期間が相続発生時の3年から7年に延長されます。
「生前の早い段階での贈与を促し、若い世代が結婚や子育てなどで資金を必要としているときに円滑に資産が移りやすいようにする。」ことを目的にしているとのことですが、言い換えれば「早いうちから財産を移転しておかないと、税金が多くかかりますよ」ってことなんですよね。はやく移転しないと税金を多く徴収するみたいな懲罰規定っぽく思えてしまいますね。
とりあえずは、「見直し後は遡る期間を7年へと延長したうえで、延長した4年間に受けた贈与は総額100万円までは相続財産に加算しない。」としていますが、現行の3年間とひして10万円差があるだけなので、これも時限措置で、ゆくゆくはこの100万円の不可算もなくなるのではないでしょうか。
あと、相続時精算課税も現状は選択すると暦年贈与は使えなくなりますが、これを見直し、相続時精算課税を使った後も110万円までの贈与については、申告不要かつ非課税とする方向のようです。
現行の相続時精算課税って意外と使いにくく、メリットがあまりないように思えますので、ちょうどいいかも知れません。