足立税理士・公認会計士事務所

インボイス制度の軽減措置(三鷹の公認会計士・税理士のブログ)

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インボイス制度の軽減措置(三鷹の公認会計士・税理士のブログ)

インボイス制度の軽減措置(三鷹の公認会計士・税理士のブログ)

2022/12/31

 12月23日に閣議決定された令和5年度税制改正大綱で10月から開始されるインボイス制度について、次のような緩和措置が加えられました。

 まず、小規模事業者(2年前の課税売上高が1,000万円以下をみたす事業者)について、インボイス登録を行い課税事業者となった場合に、3年間の限定になりますが、消費税納税額を売上税額の2割とする負担軽減措置が設定され、これを選択することができるようになります。(税理士の注意点としては、選択適用事項なので、申請漏れに気を付けることかなぁ。)

 二つ目は、少額取引はインボイス不要とする事務負担軽減措置です。これは、2年前の課税売上が1億円以下、または、前年度上半期の課税売上高が5千万円以下の場合、1万円未満の課税仕入や経費については、インボイスの保存がなくても帳簿への記載とその保存のみで仕入税額控除可となります。(これは令和11年9月30日までの6年間限定です。)

 そして、3つ目名は、少額な値引き・返品について、返還インボイス不要とする事務負担軽減措置です。

 これは、値引や返還時に返還インボイスを発行する必要があるとされていた取引の内、1万円未満については、返還インボイス発行不要としたものです。具体的には、売掛金の回収などで、振込手数料を差引かれて入金される場合ですが、本来、振込手数料分は値引としてインボイスを発行しなければならなかったものが、不要になります。(事務手続きの点から、インパクトがかなり大きいと思います。)

 <1月8日追加部分>

 ここで注意しなければならない点ですが、売掛金入金の際に振込手数料を差引いて処理している場合の会計処理になります。通常、会計処理としては振込手数料を「支払手数料」として処理しています。振込手数料は30,000円を超えることはないため、請求書保存が不要で「仕入税額控除」の対象としています。

 しかし、10月以降のインボイス制度では、30,000円未満でも請求書の保存が必要で、売り手側は支払手数料の請求書に相当するものが必要になりますが、これが存在しないため、買い手側から「立替金請求書」と振込手数料のインボイスを添えて、売り手側に渡す必要があります。つまり、今まで不要だった買い手側の新たな事務負担が増えることになります。

 このまま導入されると業務の効率化を妨げることになりますので、売り手側が振込手数料分を売上値引処理した場合に、この値引に関する返還インボイスを不要とするということになりました。(10,000円未満です。)

 これは、売掛金等の回収額から差し引かれる振込手数料を「売上値引」として処理した場合ですので、「支払手数料」処理をすると買い手側から「立替金精算書」を入手することが必要となります。

<以上>

 あと、登録申請期限の柔軟化ですが、そもそも令和5年度10月1日の制度開始に間に合わせるための申請期限が、令和5年3月31日までとされていました。本来であれば4月以降に提出される登録申請書において、10月からの適用においては、「期限に間に合わなかった困難な事情」の記載が求められていましたが、ないこととなり、4月以降の登録申請でも、この事情の記載が求められずに制度開始時に登録できるようになるとのことです。

 免税事業者の仕入控除額を80%にするということもかなり面倒な手続きですが、前述のような小規模事業者に係る経過措置が取り入れられたのは、良かったのではないかと思います。

 今日は、12月31日の大晦日。いろいろと考えることの多かった1年が終わります。

 皆様、良いお年をお迎えください。

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